現社長 鎌形憲一の父で、当社二代目社長にあたる<鎌形四郎>が生前に書き記した社史です。
語りべの「私」は四郎自身のことであり、文中の「親父」は、四郎の父(現社長の祖父)になります。

私が29歳の時に親父が亡くなりました。急な事だったので悲しみよりも不安の方が大きかった事を覚えています。しかし会社は続けなければいけませんので、私が社長に就任しました。経営など素人の私は本当に不安な毎日でした。そんな時、亡くなった親父に世話になったからと、入社していろいろと私の面倒を見てくれた人がいました。十分に給料も払えない会社なのに、私を一生懸命一人前の社長に育ててくれて・・・後に、専務として本当に会社に尽くしてくれた人なんです。

その専務が「とにかく社長は外に出て営業をしてほしい。事務所は私が守るので、何でも思いっきりやってほしい!」と言ってくれて、私は営業に専念できるゆとりが出来たのです。

ゆとりができると、気の緩みも出てきまして(笑)、お客さんとの付き合いで夜遅くまでお酒を飲む事が多くなり、出社が9時、10時に出社する事が頻繁になりました。そんなある晩、専務から自宅に呼ばれ一緒に酒を飲みました。その時専務から「いくら酒を飲んでも良いから、朝9時、10時に出社するなんて事はやめなさい!」ときつく怒られました。慢心していた私は心を入れ替え次の日から一番早く出社し会社の鍵を開けて社員を待つようにしました。

その専務は私が66才の時に亡くなったのです。親父より一緒にいた時間が長かったですから、二人目の親父を見送った気持ちでした。今でも専務には本当に感謝しています。